• 「木」語り 連載第1回

    プロローグ

    <「木」語り(「き」がたり)>は「木」と言う素晴らしい宇宙からの贈り物について、多くの方々とじっくりディスカッションするための著作物です。

    今最大の問題となっている地球温暖化。ゼロカーボン社会を創出する事でそれを是正する事が可能だとされています。そして人類は実現に向けて歩み出してはいます。しかし、その歩みはエゴとの狭間で揺れ動き、計画通り進んでいないのが現状。そこに人間の本質が現れているようにも・・・

    ただそんな悠長なことを言っている場合ではありません。私達のゆりかごであり、住まいであり、そして次世代の未来でもある地球が悲鳴を上げているからです。しかも、私たち自身の行いにより。だから、この問題にチャレンジし解決できるのも私たち(当事者)自身以外にありません。

    そして、この難題に対しては2つの解決方法があります。1つ目は、CO2の排出量を減らす事。2つ目は、CO2を酸素と炭素に分解してしまうと言う方法。

    後者に関しては(新しい分解技術が実用化されない限り)植物の力を借りる以外に方法はありません。中でも、大きく育つ「木(樹木)」は圧倒的パワーでその役割を果たし続けてくれています。となれば<より良い「木」との付き合い方>が出来れば、間違いなく地球温暖化問題に一石をと投じられると言う事でもあります。

    にもかかわらず、私たちは<あまり感心できない「木」との付き合い方>ばかりしてきました。残念ながら日本においても同様で、早急に解決しなければならない難題が山積しています。

    その一方で、私たちは<「木」の素晴らしさ>を良く知っています。半面<「木」に対する誤解>から、暮らしの中から「木」を排除してしまうような動きも多数見られます。だからこそ、まず<「木」を良く知る>事から始めなければなりません。

    しかも、「木」を正しく使う事は自然環境の改善に直結しています。

    個々の立場・分野などにとらわれることなく、この<「木」語り>が「木」と一から語り合うための、実験台的存在になればと考えています。

    2023年4月30日 みずき りょう

    南アメリカの熱帯雨林
    南アメリカの熱帯雨林
  • みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,082

    「世界のガーデン」第八章:「風景式(イギリス式)庭園」

    第65回:「キュー・ガーデンズ」とは?

    「風景式(イギリス式)庭園」を紹介中。今回は「キュー・ガーデンズ」を取り上げます。

    「キュー・ガーデンズ」 は首都ロンドン南西部にある王立の植物園とその付帯設備の総称です。ただ、単に植物園と言うだけではなく、世界有数の植物に関するサンプル・資料を揃えた施設でもあり、2,021年の時点で700万点に及ぶとされ、植物研究施設としても広く知られています。また、このような役割が評価され2,003年にはユネスコの世界遺産にも指定されています。

    「キュー・ガーデンズ」 は、ロンドンとリッチモンドの中間の位置にあり、植物学に関する文献も多数発行してきました。「カーティス・ボルタニカ・マガジン」はその代表作品の1つで、現在も継続発行中。「熱帯東アフリカ植物誌」はウガンダ・ケニア・タンザニア地域の植物を網羅したもので、1,948~2,012までの歳月を費やした大著で、263巻に12,100種を網羅。

    また近年は、主に東南アジアの植物を対象に「ライデン植物園」(オランダ最古の植物園)と提携し、WEB情報を公開するなど先進的な活動も行っています。

    歴史を辿ると、「ケープル」と言う貴族が熱帯植物を集めた庭を造ったことが発端となり、その後「ジョージ2世」(イギリス王、在位1,722~1,760年)の長男「フレデリック皇太子」の未亡人「オーガスタ」により拡張(建物等が追加された)され、その時の建造物「グレート・パゴダ」(1,761年)はなどは現在も同ガーデンの貴重な建物として高い評価を受けています。

    その後も「ジョージ3世」(イギリス王、在位1,760~1,820年)が隣接していた「ダッチ・ハウス」を1,781年に購入し、王室の子供を育てる施設(現在の「キュー宮殿」)とする、1,840年に庭園を植物園に改修し同部を30ヘクタールにまで拡張(全体の敷地は120ヘクタールとなる)するなど、進化を遂げてきました。

    また、 「キュー・ガーデンズ」 の歴史は大英帝国の歴史とも重なり、多くの植民地に対する農場経営とも密接なかかわりを持っていました。スリランカ・インドなどでの茶の生産(中国原産)、マレー半島での天然ゴム生産(アマゾン川流域原産)、インドでのキニーネ生産(マラリアの特効薬、南米ペルー原産)などがその代表的なもの。

    また、 「キュー・ガーデンズ」 は日本とのつながりも深く、ジャパニーズ・ゲートウェイと言う、日本の古い建物と庭をイメージしたコーナーも併設しています。そこには古民家風(ミンカ・ハウス)なども設置(写真参照)されており、多くの日本人が訪れる観光名所でもあります。

    「キュー・ガーデンズ」 全景(左部分)
    「キュー・ガーデンズ」 全景(左部分)
    「キュー・ガーデンズ」 全景(右部分)
    「キュー・ガーデンズ」 全景(右部分)
    大温室「パーム・ハウス」
    大温室「パーム・ハウス」
    「キュー宮殿」(ダッチ・ハウス)
    「キュー宮殿」(ダッチ・ハウス)
    ツリー・トップ・ウォーク
    ツリー・トップ・ウォーク
    マリアンヌ・ノース・ギャラリー
    マリアンヌ・ノース・ギャラリー
    パゴダ
    パゴダ
    ジャパニーズ・ゲートウェイ(日本エリア)
    ジャパニーズ・ゲートウェイ(日本エリア)
    ミンカ・ハウス(日本の民家)
    ミンカ・ハウス(日本の民家)
  • みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,081

    「世界のガーデン」第八章:「風景式(イギリス式)庭園」

    第64回:「スタッドリー王立公園」とは?

    本家本元とも言えるイギリスの「風景式(イギリス式)庭園」を紹介中。今回は「スタッドリー王立公園」を取り上げます。

    「スタッドリー王立公園」はイングランドのノースヨークシャー州にある公園で、シトー会に属する「ファウンテンズ修道院」の施設(現在は不使用)を含み、18世紀に創設されたと言われる「スタッドリー王立ウォーターガーデン」なども含まれる広大なもので、1,986年に世界遺産にも指定されています。

    同公園の起源は「ファウンテンズ修道院」にあり、「ベネディクト会」と言うものを結成していた修道士たちにより創設され、1,132年頃まで歴史を遡ることが出来るとの事。その後「ヘンリー8世」(イングランド王 在位1,509~1,547年)が修道院解散令(1,539年発令)出したことにより、2㎢もの土地が「リチャード・グレシャム」(商人)に払い下げられ、その後紆余教説があり「ステファン・プロクター」と言う人物が所有。彼は、1,598~1,604年にかけて大邸宅を同地に建造(ファウンテンゾ・ホール)し、この建物が現在にまで引き継がれ一部が一般公開されています。

    さらに、1,693年には「ジョン・エイズラビー」が同地を相続。大富豪であり議員でもあったが、金融破綻し議員からも失職します。結果、故郷「ノースヨークシャー」に帰り、1,718年から大庭園の造営を開始。1,742年に「ジョン・エイズラビー」は没するが、息子の「ウイリアム」が「修道院」と豪邸(ホール)を買い上げ、庭園造営を継続。それが、現在の「風景式(イギリス式)庭園」のベースとなりました。

    その後もこの巨大な庭園と豪邸の所有者は変わったものの、建造物自体は引き継がれ、1,966年にウエストライディング州議会が購入。1,983年には「ナショナル・トラスト」、さらに敷地内の「修道院」部分は「イングリッシュ・ヘリテッジ」が管理するようになり、現在に至っています。

    公園の特性(見どころ)は以下の通り。

    *ウォーターガーデン・・・「ジョージ朝」時代の特性を残した構成で、水を巧みに活かした構成が高い評価を受けている。庭園内に配置された装飾品・湖・水路・神殿調の建物・滝など、見所多数。

    *建造物・・・「ネオゴシック様式」の城・「パッラーディオ様式」の宴会場など、建造物も多数ある。

    *セント・メアリー協会・・・「後期ヴィクトリア様式」の教会。ヨークシャーエリアの同様式の代表的教会でもある。

    *ファウンテンズ修道院(跡)・・・「風景式庭園」と共に、同公園の2大ポイント。詳細に関しては既に提示済み。

    以上のように、巨大な庭園と「ファウンテンズ修道院」を2代骨格とした「スタッドリー王立公園」はまさにヨークシャーエリアを代表する観光地であり、歴史遺産。勿論一般公開されており、今も多くの人が訪れます。

    「ウォーターガーデン」と廃角形の塔
    「ウォーターガーデン」と廃角形の塔
    「ファウンテンズ修道院」跡
    「ファウンテンズ修道院」跡
    「パッラーディオ様式」の宴会場
    「パッラーディオ様式」の宴会場
    「セント・メアリー協会」
    「セント・メアリー協会」
    聖歌隊員の家
    聖歌隊員の家
    「ステファン・プロクター」の大邸宅(ファウンテンゾ・ホール)
    「ステファン・プロクター」の大邸宅(ファウンテンゾ・ホール)
    「スタッドリー王立公園」の取材地
    「スタッドリー王立公園」の取材地/
    イングランド王「ヘンリー8世」
    イングランド王「ヘンリー8世」