「木」語り 連載第7回

第二章:世界の森林分布

6:針葉樹林帯の特性

 前述のごとく世界の樹林帯を見ると、寒冷地域(主に亜寒帯。酷寒の寒帯地域には樹木は育たない)に広がる「針葉樹林帯」と、比較的暖かい地域(温帯~熱帯)に広がる「広葉樹林帯」に大別されます。そこで両者の性格・状況等について纏めておきます。まずは「針葉樹林帯」から・・・

 「針葉樹林帯」の大多数は亜寒帯と呼ばれる冷涼な地域に存在します。しかも大陸分布の影響で殆どが北半球に偏在(南半球には亜寒帯の陸地が殆ど無い)しています。加えて、北半球の中でもヨーロッパ(ロシア西部を含む)+同地域に続くアジア(≒ユーラシア大陸)と、北米大陸北部に集中しています。逆に言えば、「針葉樹」は「針葉樹林帯」以外のエリアも存在はするが、そのウエイトはごくわずかだと言う事。また、亜寒帯的な気候は世界の高地にも点在しており、「針葉樹」分布比率の全てをトータルで把握するのは至難の業。

従ってこのコーナーではユーラシア大陸北部と北米大陸北部に限定しその状況を確認しておきます。

上記2大陸部の「針葉樹林帯」の事を「タイガ」と呼びます(従来は「ユーラシア大陸」部分を「タイガ」と呼んでいたが、近年は「北米大陸」も含めた全域に使用)。その面積は約7億ha。つまり地球の全森林面積の17~18%を占めていると言う次第。しかも、1,960年代では約6.6億haであったものが、1,990年代には7.6億haと増加傾向にあります。

この数値だけを見ると、「タイガ」エリアの森林事情は好転しているように感じます。ただ、近年の研究では<面積は増えているが、二酸化炭素吸収量はダウンしている>との事。理由は、森林自体が殆ど放置状態で、老木が増え同吸収能力自体落ちているため。従って、計画伐採・計画植林地域を増やす必要があると言う事になります。しかし、「タイガ」の分布エリアを見る限り至難の業と言わざるを得ません。

ただ、カナダや一部のヨーロッパエリアでは、そのための取り組みも少しずつ活発化しています。

 また、両「タイガ」エリアとは別に、日本を含め「針葉樹林帯」の植林は(「針葉樹」「広葉樹」混成樹林帯を含む)世界各国での取り組みも始まっており、その活動に夢を託したいものです。

北米大陸とユーラシア大陸に広がる「タイガ」